国立病院機構神奈川病院副院長
です。
1992年に始めた胸腔鏡手術(VATS)
は、これまでに1600例あまりになりま
した。管理職としての仕事の傍ら、
このVATSを中心に呼吸器外科の診
療を行っています。
 

1)肺癌の手術 (なんと言っても、低侵襲のVATS)


 肺癌をVATSで切除するようになって15年になります。VATSによる肺活量の低下は開胸術に比べはるかに少ないことが分かっています(図1)。また、I期肺癌(3cm以下、リンパ節転移なし)の成績は、5年生存率が92.3%であり、従来の開胸術の5年生存率(78.5%)よりはるかに良好です(図2)。これは、下の図に示したように小さい傷で侵襲の小さい手術を行うと、術後、体内に残存した癌細胞の増殖が抑制される結果ではないかと考えられています。

 
 
(図 1)


 
 
(図 2)

        







 従来の肺癌の手術(開胸術)の傷です。天井からつるした灯りに頼っていましたので、このように、背中から胸まで大きく切っていました。また、肋骨を切ったり、肋骨の間を無理矢理拡げるので、術後、激しい疼痛が起こりました。

 当院の肺癌の手術(VATS)の傷です。2cm の穴から入れた内視鏡で照明して手術を行いますので、このように小さい傷(6-8cm)で手術ができます。肋骨はもちろん、筋肉もほとんど切りませんので、術後の痛みもほとんどなく、手術後3-7日で退院できるので、肺癌であっても入院期間が1週間程度で済むようになりました。仕事が忙しくて長期入院ができない方には最適の手術法であり、遠方の患者さんにも対応しています。

 
 
2)自然気胸の手術


自然気胸は、肺にできた袋(ブラ)が破けて起こります。

 
 
 
 
 以前は開胸術で大きい傷で行っていた自然気胸の手術も、1992年から胸腔鏡手術で行っています。1cm程度の穴を開けるだけでできるので痛みもほとんどなく、手術後1-3日で退院できます。
 
 
 3)多汗症の手術

 日本人の約1%がひそかに(手掌)多汗症で悩んでいると言われています。皮膚科的治療では治りません。われわれの施設では、胸腔鏡手術で培った技術を用い、胸部交感神経遮断術を行っています。術中マーキングを行うことにより、多汗症の胸腔鏡手術における一番重篤な合併症であるホルネル症候群が起こらないよう、工夫しています。お悩みの方は一度ご相談下さい。
 
 
 4)その他

 縦隔腫瘍、肺の良性腫瘍の切、確定診断を付けるための肺生検などの手術も、症例によっては胸腔鏡手術で行っています。最近は、肺癌や悪性胸膜中皮腫による癌性胸膜炎で胸水が貯まって呼吸困難になった患者さんに対し胸腔鏡下温熱癒着療法を行っています。手術時間は1時間程度ですが、概ね、1回の治療で胸水がコントロールされ、QOLが著明に改善します。
 
 
 5)漏斗胸でお悩みの方へ

内視鏡を利用した漏斗胸の手術(胸骨挙上法)を行っています。お気軽にご相談下さい。
 
         







 手術前

 手術後
 
 
 
   
 
 
   
 


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